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2011/11/18 UP

Jerry Bouthier

Jerry Bouthier流
「モダン」なダンスミュージック

photo: Kentaro Matsumoto text: bonjour records

音楽、ファッションをはじめとしたクリエイティブ・シーンで活躍するDJ/プロデューサー、Jerry Bouthierが先頃、DJツアーのために来日。1990年代から現在に至るまで、トレンドセッターであり続けるJerry。その彼にインタビューを慣行。Jerry Bouthier流「モダン」なダンスミュージック論。

Jerry Bouthier
パリ出身、ロンドンを拠点に活躍するDJ/プロデューサー。数多くのセレブリティが訪れた伝説的パーティ“Boom Box”や“Ponystep”等のレジデントDJ、Vivienne WestwoodやGareth Pugh等のショーの音楽ディレクション、Kylie MinogueやLadyhawkeのリミックス・ワークを手掛ける等、音楽やファッションをはじめとするクリエイティブ・シーンで活躍。現在、フランスのKitsuneやドイツのGomma等のヨーロッパの優れたインデペンデント・レーベルや、自身が運営するContinental Recordsからリリースを行う等、精力的に活動している。
http://www.myspace.com/jerrybouthier
http://www.myspace.com/JBAGlondon

──先ず、Jerryさんが音楽の世界に身を置くようになったきっかけについて教えて下さい。

僕の父が大の音楽好きで、ロックやブルース、エレクトロニック……色々なジャンルのレコードが家にあったんだ。父はテレビの仕事をしていて、Jimi HendrixやPink Floyd等のドキュメンタリー番組の仕事にも携わっていてね。子供の頃は、父から、音楽のグッド・エデュケーションを受けていたんだ。そして、物心つく年になってから、パンクにニュー・ウェイヴ、エレクトロ・ファンク等にハマるようになった。ニュー・オーダーやザ・スミスがフェイバリットで、バンドで曲を書いたりもしていたよ。その後、ハウス・ミュージックにインスパイアされて、パーティで夜通しDJをするようになったんだよね。音楽の世界に身を投じたと言うより、子供の頃から、常に音楽がそばにあったんだ。

──子供の頃から長く音楽に触れてきた中で、特に影響を受けたミュージシャンはいますか。

ミュージシャンよりもDJに強く影響されたと思うな。「オリジナル・イビザDJ」とも言うべきAlfredo Joaquin FioritoやAfrika Bambaataa からは特に強い影響を受けたね。Afrika Bambaataa に関して言えば、彼はパンクやニュー・ウェイヴ、さらには60年代のロック等、ブラック・ミュージックに限らず、色々なジャンルからブレイクビーツを見つけ出したわけだけれど、彼のそのような音楽的姿勢に感銘を受けたんだ。『Last Night a Dj Saved My Life: The History of the Disc Jockey』という本があるんだけれど、その本は今話したような創成期のDJカルチャーについて詳しく触れていて、ボンジュールレコードに足を運ぶ音楽好きの人にはおすすめだよ。

──今現在、Jerryさんが注目している音楽のトレンドはありますか。

僕はDJ/プロデューサーとして、ハウスやエレクトロ、その他色んなジャンルの音楽に触れてきたけれど、今の気分はニュー・ディスコ。ただ、“Nu Disco”という言葉がしっくりこなくて、僕はニュー・ディスコのことを“Baleariscopop(バレアリスコポップ)”と呼んでいるんだ。いわゆるニュー・ディスコのサウンドには、バレアリックな感じ、そして80′sユーロ・ポップの雰囲気があるからね。プロデューサーやDJだと、AeroplaneやMoonlight Matters、The Magician等が好きだね。レーベルだと、EskimoやItalians Do It Better……Running BackのTiger&Woodsもいいね!! 最近はゆったりとしたビートで、それでいてメロディックなサウンドが好きなんだ。

──先頃Jerryさんが手掛けたコンピレーション・アルバム『100% Gomma Mix by Jerry bouther』の内容について教えて下さい。

優れた作品をリリースしているGommaレーベルのアーカイブの中から僕の好きな楽曲ばかりをミックスした作品だよ。テーマは「楽しいパーティ・ミックス」。結果として、セレクトした曲のほとんどはメロディックで、リスナーの心を揺り動かすようなエモーショナルなものが多くなったね。

──The Twelvesのリミックス・ワークやMoullinexの楽曲等、Jerryさんが言うところの“Baleariscopop(バレアリスコポップ)”的な要素が多いですね。

そうだね。ただ、いわゆるニュー・ディスコと呼ばれる音楽は7、80年代のディスコ・サウンドをリバイバルさせたものだけれど、僕は70′s、80′sサウンドの雰囲気を残しながらも、より「モダン」な要素のあるサウンドが好きなんだ。DJとして常に新しいサウンドを提示していきたいからね。ただ、80年代がエレクトロニック・ミュージックの歴史においてとても重要な時代だった、ということは間違いない。デジタル・シンセやドラムマシンなどの「ニュー・テクノロジー」が普及しはじめた80年代は、それらを駆使して、実験的な音楽がたくさん生み出された時代だからさ。90年代になると、DJカルチャーも商業的になって、「コマーシャル・ハウス」とでも言うような、つまらない音楽が量産されるわけだけれど……。現在のDJカルチャーにも商業的な側面は多いにあるけれど、僕はセルフィッシュに、自分が本当に良いと思える、そしてフレッシュな音楽だけを届けていきたいんだ。そう思っているせいか、ロックスターのようなDJ/プロデューサーと比べると、僕は全然お金がないんだけどね(笑)。

──Jerryさんが活動の拠点としているロンドンの音楽シーンの潮流について教えてもらえますか。やはりベース・ミュージックが人気なのでしょうか。

ノーザン・ソウル、ラヴァーズ・ロック、ドラムンベース……。昔からUKの音楽シーンはブラック・ミュージックからの影響を受けたものが流行るから、確かにベース・ミュージックは勢いがあると思う。でも、僕がかけている“Baleariscopop(バレアリスコポップ)”はヨーロピアンな感じで、あまり「黒さ」は無いから、イギリス人にはあまりウケないんじゃないかな。あと、UKはハウス・ミュージックのシーンがビッグ過ぎるんだよ。シカゴやニューヨークのゲイ・ディスコに起源を持つハウスのカルチャーもビッグになりすぎちゃって、商業化しているんだ。割と大きい某レーベルM等がDJカルチャーをコントロールしていて、UKのハウス・ミュージックのシーンはブラック・アメリカン・カルチャーの成れの果て、という感じだよ。だから、UKではニュー・ディスコはDJカルチャーの脇に追いやられていている感じがする。ドイツならGomma、フランスならKitsune、ベルギーならEskimo、とインデペンデントで優れたニュー・ディスコ/インディー・ダンス系のレーベルが各国にあるけれど、UKで挙げるとすればNangくらいかな。

──とはいえ、DJカルチャーにおける新しい道筋を提示すようとするJerryさんの活動に期待している音楽ファンも少なからずいます。そこで、Jerryさんの今後の活動について教えてもらえますか。

今現在はKitsuneから出る新しいミックス作品の制作をしているところ。また、次のパリ・ファッション・ウィークでのVivienne Westwoodやその他のブランドのショーの音楽ディレクションもやっているよ。あと、Continental Recordsというレーベルの運営もしていて、Andrea Gorgerinoというパートナーと一緒に、JBAG名義で活動したりね。Kitsuneから出るミックス作品はインディ・ダンス色が強いけれど、Continental からは、よりダンスミュージックにフォーカスした曲を出していきたいと考えてる。そして、ここ何年かはハイテンポな曲が流行していたけれど、最近僕はビートダウンしているものが好きだし、そういうモダンな音楽を提示していきたいんだ。懐古主義にはならず常にDJカルチャーにおける新しい道筋を示していたいし、そういった姿勢はとてもクリエイティブなことだと信じているんだ。F××k Rules!! 今迄に無いような音楽に触れた時が一番エキサイティングだからね!!

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