FOCUS

2012/01/24 UP

GILDAS(Kitsuné) × CLEMENT(colette)

パリの最新モード配達人が語る「クリエイティヴの鍵」

photo: Hiroaki Sakano text: bonjour records translation: Maiko Nishikawa
special thanks: F.E.U. inc. / WOMB / Café & Bar MICROCOSMOS

21世紀型マルチ・カンパニー:Kitsunéの音楽プロジェクトを指揮するGILDAS。2011年秋に開催されたbonjour recordsのオフィシャル・パーティ『Bonjour Music School vol.1』では、盟友:MASAYAとともに一夜限りのユニットを復活させた彼が、12月28日、WOMBでの『KITSUNÉ NIGHT 〜BONENKAI〜』のために再び来日を果たした。そのイベントには、世界のファッション愛好家から支持されるパリのセレクト・ショップ:coletteの音楽面を手掛ける他、DJとしても活躍するCLEMENTも出演。そんな絶好のタイミングで、2人の貴重な対談が実現した。パリの最新モード配達人が語る、「クリエイティヴの鍵」とは……。

GILDAS(Kitsuné)
音楽の他、グラフィックやアート、ファッションなどの事業も展開するKitsunéの中心メンバー。特に、音楽面/レーベルの司令塔として活躍し、エレクトロやテクノ、ポップ・ミュージックなど多岐に渡るサウンドを発信。世界中から高い支持を得ている。実際、その看板作品であるコンピ盤シリーズ「Kitsune Maison」は好セールスを記録。また、デジタリズムやラ・ルーなどの才能も発掘している。また、DJとしての活動も展開。盟友であるMASAYAとのユニットは現在休止しているものの、ソロとして世界中のビッグ・パーティでプレイしている。まさに「時代」と「次代」をつなぐ、最新モード配達人。
http://kitsune.fr/
http://www.myspace.com/maisonkitsune

CLEMENT(colette)
05年に発表したファースト・アルバム『Bleed』が世界的な評価を獲得した、パリ発ニューウェイヴ・エレクトロ・ユニット、aswefallのメンバー。また、DJ CHLOEやIvan Smaggheなどが所属するレーベル、KILL THE DJのクルーの一員としても活躍し、レーベル・パーティのレジデントDJを過去に務めた。近年は、パリの人気セレクト・ショップ、coletteの音楽セレクションも担当。豊富な経験と知識をもとに、ファッションやアートとリンクしたスタイリッシュな音楽を提案している。同時に、DJとして数々のパーティに出演。ミニマル~メロディアスなサウンドを巧みに操り、独自のDJスタイルを持つ。
http://www.colette.fr/
http://www.myspace.com/aswefallkillthedj

── まず、2011年を振り返って、どんな一年だったでしょうか。

GILDAS(以下: G) 「世界を見渡すと、様々なことが起こったよね。だけど幸運なことに、Kitsunéは好調で、僕自身も忙しく動き回れたよ。コンピレーションCDシリーズ『Kitsuné Maison』も制作できたし、新しいバンドのアーティスト・アルバムもリリースできた。例えば、Is TropicalやHousse de Racketの作品は高い評価を得ることができたし、レーベルとして自信がついた1年だったね」

── ともにパリを拠点に活動を行っていますが、昨今のフランスの音楽シーンはどのような状況ですか。

CLEMENT(以下: C) 「いまのパリはエキサイティングなタイミングだね。というのも、若い世代のロック・バンドが次々と活躍し始めているんだ。彼らはエレクトロ・ミュージックからの影響を受けているんだけど、それをそのまま表現してはいない。いわゆるエレクトロとは一線を画していて、とてもユニークなサウンドを鳴らしているよ」

G 「うん、フランスだけじゃなく、世界全体で同時多発的にそういうバンドが生まれているんだ。いろいろなタイプのインディ・バンドが登場していて、なかにはすごく光った音楽性を持っているバンドもいるね。先日、『Kitsuné Maison 12 -The Good Fun Issue』をリリースしたんだけど、その作品のなかでもそんな新しいバンドを紹介しているよ。“True Romance”を収録したCitizens!などは最たる例かな」

── Citizens!などのような新進アーティストが、どんどん生まれている要因を教えてください。

G 「いま、キッズたちはいろんなものを吸収しているんだ。フランスの若者たちもインターネットを駆使して、NYやロンドン、東京などの文化をチェックしているよ。そして、彼らはそういったカルチャーをミックスして、オリジナルなものを作ろうとしている。そんな柔軟なスタイルを持っているからこそ、若い世代のバンドが注目されているんじゃないかな」

C 「あと、フランスはもともと革命の国。革新的な音楽やカルチャーを否定しがちな国も多いと思うんだけど、かたやフランスは新しいものを受け入れる土壌ができているんだ。だから、パリを経由して、ブレイクする新進アーティストが多いのかもしれないね」

── フランスに限らず、いま注目しているアーティストやレーベルはありますか?

G 「JuvenilesやLemaitreなど、面白いアーティストはたくさんいるよ。『Kitsuné Maison 12』にも数組収録しているけど、彼らはオリジナル・アルバムを発表できる実力も持っているね」

C 「僕は2011年に良い作品を出していたレーベル、Triangleに注目しているよ。あとは、Azelia Banksなど素晴らしい才能を持ったアーティストもいる。2012年は彼らが本格的に活躍する年になるんじゃないかな」

── 先日、Jerry Bouthierが来日した際、ニュー・ディスコが面白いと語っていたのですが、音楽ジャンルに関してはいかがですか。

G 「ニュー・ディスコというカテゴリーに入るかどうか、あまり意識していないけど、メロウなディスコ・ミュージックは僕も好きだよ。Kitsuné周辺のアーティストで言うと、Magicianなどはニュー・ディスコっぽいサウンドを得意としている。あと、ベルギーあたりではニュー・ディスコと呼ばれるジャンルが盛り上がっているようだね」

C 「僕にとっては、ニュー・ディスコが特別新しいものとは感じていないかな。以前から、LindstromやPrins Thomasなどの優れたアーティストが活躍していたからね。GILDASもそうだと思うんだけど、音楽ジャンルやムーヴメントというものをあまり意識しないんだ」

── とはいえ、2人とも時代に合った、優れたコンピレーション作品を制作していますよね。『Kitsuné Maison』然り、coletteの最新作「COLETTE SEX」などのテーマ性はどのように構築しているのですか。

G 「僕がコンピレーションを作るときは、客観的な視点を持つようにしているね。いろんな曲を聴いて、優れた音楽を探し出したい、という考えなんだ。特に、ソングラインティング能力に長けたアーティストを選ぶようにしているね。KitsunéはコンピレーションCDに収録する楽曲を探しているわけじゃなく、最終的には、僕らのレーベルからオリジナル・アルバムを発表し得るアーティストを求めているんだ。そういう姿勢やテーマ性があってこそ、『Kitsuné Maison』は成立していると思うね」

C 「多分、テーマ性を掲げた方が、選曲の方向性も自ずと決まってくると思うんだ。何も考えずに選曲する方が断然難しいよ(笑)。『COLETTE SEX』に関しては、まさに“SEX”をテーマにしていて、セクシーでエロティックな楽曲を集めたよ。coletteのファッション性やカッティングエッジな視点から作った、セックス・ミュージックだね」

G 「これを聴きながら、セックスしてみようってことさ(笑)。きっと、ステキな気分になれると思うよ」

── では、Kitsuné、coletteともに、コンピレーションCDで表現したいこととは?

G 「Kitsunéは、いろいろなものが組み合わさっているんだ。所属アーティストのオリジナル作品を発表すれば、レーベル・パーティもやる。それらと同様、コンピレーションCDもレーベルを構成するための欠かせない要素なんだ。そして、コンピに先行して楽曲を収録することで、リスナーたちの反応をいち早く見ることもできる。つまり、「先見性」や「試金石」という意味も持っているね」

C 「かたや、coletteはレーベルではなく、洋服をメインとしたショップ。だから、最新の音楽を紹介するような役割は求められていないんだ。昔の良い楽曲を選んでもいいし、あまり知られていない隠れた名曲を収録してもいい。そういう自由なマインドは、表現していきたいかな」

── ちなみに、お互いの活動に関しては、どんな印象を持っていますか?

G 「CLEMENTがプロデュースするcoletteの作品は、常にアイディアがオリジナルで、強いアティチュードを感じるね。『COLETTE SEX』からもたくさんの愛情が伝わってくるよ」

C 「僕は個人的に、coletteとKitsunéには似た部分があると思っているんだ。レーベルとショップだから根本的な違いはあるんだけど、フランス的な考え方がある。新しいものや個性的なものにオープンマインドな姿勢で取り入れて、だけど軸はブレないというか。そういう独自のスタイルを保っているところも、接点かもしれないね」

── 独自性がそれぞれのブランド・イメージを固めていると。

G 「きっと、bonjour recordsも一緒だと思うよ。だって、東京でじつにユニークな存在だと思うんだ。音楽ショップなのに、ファッション・ブランドも始めて、しかもコーヒー・ショップでもあるからね! これからもKitsunéをサポートしてほしい重要な拠点だよ。今度はラテを飲みに行くよ(笑)」

V.A. 「Kitsuné Maison 12 -The Good Fun Issue」
Kitsuné / P-Vine ¥2,730

V.A. 「COLETTE SEX」
colette ¥3,999

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