FOCUS

2012/08/14 UP

AMBUSH® × bonjour records by VERBAL & YOON

モードとストリートの狭間を射抜く
VERBALとYOONのアンビバレンスな世界観

photo:Kenta Suzuki text:bonjour records

新素材の大胆な起用や斬新なカラーリングの導入など、他ブランドとは一線を画したスタイルを掲げ、国内外から支持を獲得するブランド、AMBUSH®。その最新コレクション“HOLY MOUNTAIN”も好評のなか、AMBUSH®とbonjour recordsがコラボレーションを果たした。“HOLY MOUNTAIN”の象徴的なデザインを落とし込んだUSBメモリーやiPhone Case、ファイアーキングのマグカップやTシャツが登場。そんなプロダクトの発売を記念して、AMBUSH®を主導するVERBALとYOONがその世界観を語る。
ストリート・カルチャーのダイナミズムや柔軟性、俊敏性を持ちながら、モード・ファッションの前衛的志向や品格をも示すAMBUSH®。ある種、両極端の要素をごく自然体に融合してきた2人は、どのような“理念”をデザインに込めているのか。そして、彼らが表現する“カルチャー・ミックス”とは。

VERBAL
m-floの活動と並行して、ソロでも多方面で活躍。他アーティストへの楽曲提供や客演参加もこなす他、ファッション・ブランド:AMBUSH!のプロデューサー、そしてDJなど、多彩な表情を持つ。音楽シーンとファッション界を自在に行き来するそのスタイルは海外からも注目を浴び、世界中のトップ・ミュージシャンやセレブリティたちと深くコミット。日本のアイコン的存在である。

YOON
AMBUSH® / Antonio Murphy & Astro® のデザイナー / Visual Director。 ストリート・ファッション~セレブ界を飛び越え、幅広い世界で活躍する実力派クリエイター。

AMBUSH®
2002年、VERBALがYOONと共にAMBUSH® DESIGNを設立。”ANYTHING GOES” をモットーに、東京ならではの楽しさ、繊細さ、独特なカルチャーを追求し新たな表現にチャレンジ。

2004年、ジュエリー・ブランド:Antonio Murphy & Astro®をスタート。ウィット感に富んだユニークなデザインを18金、プラチナ、ダイアモンド等の高級素材を使用して表現。他のジュエリー・ブランドでは見られない高級感とストリート感の融合、トレンドに捕われない自由な発想が注目される。 世界中からカスタムオーダーも受け、Kanye West や Jay-Z、BIG SEAN 等のアーティスト達も愛用している事から話題を呼ぶ。

2008年には Antonio Murphy & Astro®のセカンドライン、AMBUSH®をスタート。遊び心のあるデザインを追求し、今までジュエリー/アクセサリー類では見られなかった新素材や塗装との融合で新たな配色やスタイルを提案。Lady Gaga、Rihanna、Odd Future など、世界的に有名なアーティストも着用。数々のコラボレーションも行っており、 Louis Vuitton (Kim Jones とのコラボレーション)、 A Bathing Ape®、TOPMAN、Georg Jensen、Mattel (KEN 50周年企画)、WTAPS、ZIPPO、Cassette Playaなど、様々な枠を超え、勢力的に発表し続けている。

──まず、最新コレクション“HOLY MOUNTAIN”のテーマを窺いたいのですが。

YOON「今期は、同名の映画『HOLY MOUNTAIN』からインスパイアされたコレクションなんです。色や形など、映画に出てくるシーンから引用していますね。ちなみに映画の内容は、ライフスタイルや宗教などが入り乱れていて、人生の意味を問うような感じなんですよ」

VERBAL「カルト的な作品ではあるんですけど、宗教観をそのまま出すんではなく、シュールな方向で描いていて。人生の深い意味を問う、というよりは、本編全体を通して、独自の世界観を出している映画ですね」

YOON「実際、映画の最後に、特徴的な言葉が出てくるんですよ。『いろんなことを経験しても、結局はシュールだった』って。つまり、“最後は現実に戻される”ってことだと思うんです。『HOLY MOUNTAIN』はある意味、現実逃避を表現した作品かもしれませんね」

──ビビッドなカラーリングが起用されているのも、映画から影響を受けているのでしょうか。

YOON「映画自体、独特な雰囲気や色彩を持っているんですよ。今回は目玉をモチーフにしたアクセサリーを作ったんですけど、そういう目玉が出てくるシーンもあるし、クロス(十字架)モチーフも同様に映画から持ってきた。映画のビジュアルから感じ取ったものが、そのまま形になっているという感覚ですね」

──ただ、映画の世界がストレートに表現されているわけではないというか。やはり、AMBUSH®流の“時代感”や“スタイル”、はたまた“毒”などが注入されていると感じます。

YOON「確かに、そういう部分は大事にしていますね。例えば、カギ爪の形をしたジュエリーは、直接、映画には出て来ないんです。けど、映画を観ると、『人間は動物なんだな』って思わされて、人間の本能みたいな部分を考えさせられる。そこで、四連のカギ爪ジュエリーを思いついたんですけど、これを指にはめると、動物の爪みたいになるんですよね」

──なるほど、AMBUSH®のオリジナリティはそうやって生まれていると。ちなみに、このブランドを構築する上で、お2人はどのように役割を分担されているのですか。

VERBAL「じつは、最初からジュエリー・ブランドをやろうと思ったわけではないんですよ。AMBUSH DESIGN®という会社は、もともとYOONのグラフィック・デザインを営業するために立ち上げたんです。その数年後に、僕がジュエリーを好きだったのもあって、自分用にカスタム・ジュエリーを作り出したんですけど、そうしたら他の方から『欲しい』って言われるようになって。そんな流れだから、すごくオーガニックに始まっていったブランドなんですよ」

YOON「うん、自然の流れだったよね。正直なところ、ブランドの方向性も特別、固めていなかった(笑)」

VERBAL「最初は、自分が音楽をやっていることもあり、ヒップホップ的/ストリート的な要素が強かったかもしれませんね。そこから徐々にモードっぽくなっていって、いまのスタイルに流れ着いたわけです。お互いにアイディアを出し合いながらも、現在はYOONのクリエイティヴ先行で作り出していますね。僕はどちらかというと、裏方的な役目です」

──“ストリート発、モード行き”という流れは、当初から意図していたのでしょうか。

VERBAL「多分、あまり意識していませんでしたね。僕のルーツはヒップホップ/スケート・カルチャー出身だけど、彼女はシアトル出身だから、ロックなデザインをルーツに持っている。それに、YOONはエロティックでグロテスクな雰囲気のものも好きだったりするので、そういうものがミックスされて、いまはモード的なシーンでも認められているんだと思うんです。だけど、AMBUSH®の作品はYOONのなかのストリート感も確かに表現されていて、モードにどっぷり浸っているわけではない。ヨーロッパのモード・シーンで受け入れられたかと思えば、アメリカのBボーイたちに褒められたり、かたや先日、韓国のグループ:BIG BANGのメンバーであるG-DRAGONやSOLが着けてくれたり。だから、AMBUSH®はいろんな価値観を与えているのかなって」

YOON「いろんな人たちに私たちの作品が受け入れてもらえていることはホントうれしいですね。だけど、私自身はストリート・ブランド/モードのブランド、どちらかになりたいとは考えたこともなくて。ただ、私の中のデザイン性は、すべてサブカルチャーから来ていると思っていて、その時にハマっているものからインスピレーションを得ている。そういう手法は、ストリート的なのかもしれませんね」

──確かにAMBUSH®は、背景にあるカルチャーが見え隠れする。だからこそ、受け手も楽しめるのかなと。

YOON「そうですね。何かから影響を受けて、それを真似るのではなく、自己流に表現するというか。それに自分が好きなものを作ることが、いちばん大切だと思っていて。私たちの作品は大きなサイズ感のものが多いんですけど、お店の人に聞くと、それが最も売れるらしいんです。より多くの人に受け入れてもらえるだろうと考えて、小さなサイズのジュエリーも作ってみたんですけど、じつはそっちがあまり売れなかったり(笑)」

VERBAL「ねっ、マーケットは模索中だよね、いまは。『普通なものの方が売れる』と言われる時代ですけど、僕らにはそのルールが適応されないんですよ。ちょっと打算で、普通なものを作っても、意外と売れないんですよね、AMBUSH®は(笑)。それに特に海外だと、イメージが一人歩きしていて、大きなマーケットを相手にしていると誤解されるんですよ。NIGO®さんや藤原ヒロシさん、ファレル(ウィリアムス)やカニエ(ウエスト)とか、僕らの交友録がそういうイメージを膨らませているとおもうんですけど、実際は、小さな母体でインディペンデントな活動をしていて、僕ら自身がすべてをコントロールしている。ホント、すごくローカルな動きですよ」

YOON「それに、自分たちが細かな部分までコントロールすることで、いろいろなチャレンジもできるんです。前回のコレクションより、もっといいものを作ろうという気持ちを、そのまま実行に移せる。すべてゼロからパーツを作って、他にはない凝ったデザインを形にしてますね。ただ、相当、面倒な作業を繰り返していますけど(苦笑)」

VERBAL「僕らは“メイド・イン・ジャパン”にこだわっているんですけど、日本の職人の方はやはり、技術がすごく高いんですよね。そういう人たちの協力もあって、ここまでのクオリティを実現できているんです。海外のトップ・アーティストが僕らのジュエリーを認めてくれる要因になっていると思いますね、そのクオリティ的な部分は」

──そういった細かなこだわりを今回のbonjour recordsとのコラボ・アイテムにも投影していただきましたが、実際に商品を見て、どんな感想を持ちましたか。

YOON「すごくかわいい出来ですよね。欲しいです」

VERBAL「僕たちはアクセサリーを作る術は持っているけど、こういったマグカップやUSBメモリーを作るノウハウは持っていない。だから、普段とは違うアイテムを作ることは、コラボレーションの醍醐味ですよね」

──お2人から見たbonjour recordsは、どのような場所ですか。

YOON「まずはやっぱり、音楽とファッションが出会う場所だと思いますね」

VERBAL「あと、しっかりお店のリコメンドが見える場所ですよね。特に、ネット文化がここまで発達する以前は、bonjour recordsに行けば、押さえるべき音楽がわかった。加えていまは、“ワンストップ・クールミュージック・ショップ”であり、同時にイケてるファッション・アイテムも揃うお店。音楽とそれを取り巻くカルチャーを一緒に表現していると思いますね」

──bonjour recordsに限らず、様々なショップ、街、さらには国の文化や土壌からデザインのインスピレーションを得ることもありますか。

YOON「もちろん、ありますね。例えば、私は本が好きで、写真集や書籍からデザイン要素を見つけることも多いんです。最近は、中東の地域を撮影した写真集を見て、面白いアイディアが浮かんだりもした。正直なところ、何もなくてゲットーな街を撮影した写真なんですけど、それがフレッシュに感じたり。私たちは海外にもよく行くんですけど、どこも似ているというか、ファスト・ファッションが溢れていたりする。だからこそ、いまはそういう国々ではなく、アフリカやアラブ圏などに興味があって」

VERBAL「民族衣装などは、確かに面白いソースになっているよね。インドの神々の彫像の髪色が斬新な発色だったり、科学的なものでは生み出せないものがある。アフリカのジュエリーもすべて人力で作っているのに、凄まじい造形美だったり。そういう僕らが知らないものをどんどん吸収していきたいですね」

YOON「しかも、実際に見て、触って、感じて、新しいものを吸収していきたいんです。似たものが溢れている世の中だからこそ、“体験する”ということは大切にしていきたいなって」

VERBAL「おそらく、インターネットの使い方を間違えていることが多いと思うんです。AMBUSH®はインターネット的な“ゴール”にはなりたくないんですよね。安易な真似ではなく、インスピレーションやアイディアを“オリジナリティ”に変化させていく。それこそが、僕らのスタイルであり、永遠のテーマだと思います」

AMBUSH® × bonjour records
マグカップ¥3,675(税込)
USBメモリー¥3,990(税込)
Tシャツ¥5,250(税込)
iPhone Case各¥3,675(税込)
※8日11日(土)よりbonjour records各店にて発売

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