FOCUS

2012/10/24 UP

Union by Chiharu Dodo & Hiroyuki Kubo

文化と土壌を越えた“Union=共同体”
美意識と創造性を高めた第二号目を発刊

photo by SHUN YOKOI text by bonjour records

東京発のバイリンガルなファッション・マガジン『Union』。今年3月にリリースされたその創刊号は、鈴木親やHIROMIX、ホンマタカシ、アンダース・エドストロームなどといった国内外の著名カメラマンが参加し、太田莉菜、長澤まさみ、水原希子といったアイコン的女性も登場。最新のトレンドに巧妙に目配せしながら、独自の切り口でエレガントかつガーリーな誌面を作り上げた。そんな『Union』のセカンドイシューが、10月23日よりbonjour records各店でも販売。編集長を務める百々千晴氏と、編集長兼クリエイティヴ・ディレクターのHiroyuki Kubo氏に、『Union』の更新された世界観を聞いた。

百々千晴

数々の雑誌、広告などで活躍する実力派スタイリスト。多くのタレント/女優のスタイリングも手掛け、高い評価を獲得している。また、自身のファッション・ブランド『BONNIE SPRINGS』も展開中。現在、bonjour recordsルミネ新宿店で販売されている“Bonjour Girl”シリーズのディレクションも担当している。同時に、『Union Magazine」の編集長としても活躍中。

Hiroyuki Kubo
2004年に渡英し、リース・クラークに師事。帰国後はスタイリストとして活躍する傍ら、『Union Magazine」の編集長/クリエイティヴ・ディレクターも務めている。

──『Union』の創刊号が発売後、どのように今号を組み立てていったのでしょうか。

Hiroyuki Kubo(以下、Hiro)「一号目を作っている段階から二号目のコンテンツは考えていたんです。こういうことをやりたいな、っていうアイディアが具体的にあって。だから今回は、一号目では声を掛けれなかったクリエイターの方に、早い段階からアプローチできましたね。制作の仕方、進め方が徐々にわかってきたというか、前号の経験をより活かせるようになりました」

──そもそも雑誌を作ろうと考えた理由は何だったのでしょうか。

Hiro「百々とはロンドンにいる時から友人で、一緒に遊ぶ仲だったんですよ。2人ともファッションの仕事を目指していながら、ほとんど仕事の話はしないような感じでしたけどね(笑)。そして彼女が先に帰国して、その数年後に僕が日本に戻ってきたんですけど、雑誌を作りたいという話をするようになったのはその頃でしたね。その頃、日本の雑誌のフォーマットと僕のやりたいことが合致するものがあまりなかったんですよ。なんというか、絵を書く準備はできているんだけど、画用紙だけない、みたいな状態です。クリエーションしたいフラストレーションも溜まっていて、百々が『じゃあ、雑誌をやろっか』って言ってくれて」

Chiharu Dodo(以下、Dodo)「結構、自然な流れで雑誌を作り始めた気がしますね。私もHiro(yuki)君も雑誌カルチャーがもともと好きだから、自分たちの好きなものを好きなように作りたいなって」

──その雑誌に対する姿勢は、スタイリスト的アプローチなのか、それともエディター的アプローチなのでしょうか。

Hiro「あまり意識していませんが、両方のアプローチかもしれません。実際、ロンドンでアシスタントをしていた頃は、ちょうどLeithが新しいカルチャーを創りだしているのを目の当たりにして、自分も雑誌を作る魅力を感じていたんです。それに、海外ではスタイリストが雑誌のエディターも兼ねているんですよね。『AnOther Magazine』もそうだし、『DAZED & CONFUSED』などもそう。その意味というのは、それらの雑誌が情報を売るわけではなく、イメージを売っているからなんですよね。それに付随して、ブランドイメージも付いてくるわけです。自分的には魅力的な雑誌の見せ方だと感じて、そういうものを作りたかったんですよね」

──いまの日本にはあまり見られないスタイルですが。

Dodo「『Union』を作ろうと思った根底は、まずは私たちのやりたいことやアイディアをもうちょっと自由にやれたら楽しいのにな、っていう気持ちなんですよね。だから私の場合は、ノリで始めた感覚も強いんですよ。あんなことをしたい、こんなことをしたい、っていう希望を単純に行動に移しているだけというか」

Hiro「じつは、そのノリってすごく大事なんですよ。ワインとかを飲みながら、何気ないアイディアをお互いに投げ合う。すると、そういうところから、次の雑誌のコンテンツが実際に生まれているんです。ラフなようで大切なものですよ、ノリやアイディアって」

──結果、“情報ではなく、個性を売る”という概念へも結びつきますよね。

Hiro「僕らの雑誌の場合は、半年に一回の発刊なので、なおさら情報は必要ないわけです。だから、自分たちが美しいと思うことを表現できるフォーマットであればいいんですよね、『Union』は。例えば、あの人と仕事がしたいという夢を持っていても、昔はそれを実現できるフォーマットを持っていなかった。でも今は『Union』という舞台で、その人に仕事のオファーもできる。他にも、世界の有望な若手フォトグラファーなんかもフックアップできたり、『Union』は少なからず僕ら自身にとっては有意義なものになっていますね」

──自分たちの手で、自分たちのプラットフォームを作り上げたと。

Dodo「何かメリットを求めて雑誌を作ったわけではないんですけど、『Union』を始めたことで、いろんな可能性が広がりました。『これもできちゃうんじゃない?』みたいな、うれしいサプライズがたくさんある」

Hiro「僕らの雑誌は一流雑誌とは全然部数も違うし、販売している店舗もそれらに比べれば少ない。でもバイリンガルにしているのもあって、世界中から反応があるんですよ。そうなると、雑誌を発刊することで、自分のアイデンティティーを確認できる。そこは強烈に実感しましたね、創刊号を出してからのここ半年で。毎日、どこかから『Union』へのメッセージ・メールが来るんですよ。そういう反応は、すごくうれしいですよね」

──ちなみに、ウェブ・マガジンではなく、紙にこだわった理由というと。

Hiro「僕の場合、デジタルが苦手なわけではないんですよ。ただ、紙の方が僕の表現したいことをより美しく見てもらえるということ。それと雑誌好きなので、やはり雑誌というフォーマットの方が、アイディアが生まれやすかったり。あと、雑誌だと手元に残ることもいいなって。僕は写真を大事に扱いながらビジュアルを作っているので、紙媒体の方がよりよく表現できるんです」

Dodo「『Union』の場合はトレンドを追っかけているものではないので、雑誌の方がしっくり来るというか」

Hiro「トレンドを無視しているわけではないんだけど、僕らがそれを追っかける役目ではないと思うんですよ。それよりは、若い女の子たちにもっと美しい写真を見せてあげたり、ファッションをまた違った角度から紹介してあげる方がいいのかなって」

──お2人にとって、『Union』の存在価値が明確になっているようですね。

Dodo「もちろん、お互いの好きなものや考えが違う部分もありますけど、『Union』に関しては共通認識をある程度持っているんです。『Union』を始めるなら、こういうことがやりたい、という考えがありつつスタートしたので、ごく自然にオリジナリティは固まっているのかもしれませんね」

Hiro「厳密に言うと、それは共通のオリジナリティではないんですよ。それぞれが担当するページは特に撮影にも立ち会わないし、あがってくるまで全貌はわからない部分もあって。全ページにおいて、参加者が本気の勝負をしている。各アーティストの最高のクリエーションをそのページで実戦してもらって、『Union』のフィルターを通したときにどう出てくるか。それが楽しみなんですよね。なかでも、いちばん近くにいる百々のページがもっとも楽しみだったりするんですよ」

──では、今号の内容はどういったものになりましたか。

Dodo「基本的には、前号をブラッシュアップしていったので、カラーは変わらないと思うんです。同時に、自分のなかのモードも変わっていない。基本的に、いつも一生懸命やってます」

Hiro「コンテンツ的には、パワーアップしている部分も多いですね。例えば、前号以上にハイブランドとコラボレーションしたページが増えていたり。あと個人的には、百々とHIROMIXさんのページが好きで、今回は早見あかりさんに登場してもらっているんです。その組み合わせも良くて、いい化学反応が生まれていましたね。それと個人的に、アンダース・エドストロームさんというフォトグラファーを昔から尊敬していて、その方に撮ってもらったページも思い入れがあります。ずっと憧れていた写真家と仕事できて、しかも自分が作ったフォーマットのなかで一緒に表現できたのがすごくうれしかったですね」

Dodo「私はフォトグラファーの更井真理さんとやったページが特にオススメですね。前号ではキスをテーマにしたものだったんですけど、今回は裸をテーマにしたんです。その写真がすごくきれいで、好きですね」

Hiro「いずれにせよ、どのページもしっかりと『Union』の美意識を伝えるように心掛けているんです。それは言葉を替えると、いかに全体の統一感を出せているか、ということ。そのために細部にまで目を配っています」

──そこまで美意識を貫いたり、ビジュアルにこだわるのは、昨今のファッション誌へのアンチテーゼも含まれているのでしょうか。

Hiro「いや、それは全然ないですね。むしろ、定期的に発売されている雑誌などは本当に尊敬する。1冊作るだけでもかなりの労力と時間が必要なのに、すごいなって。内容に関しては、それぞれ雑誌の個性なので特に意見はないですけど、まず続けて出していること自体が簡単なことではないですよね」

Dodo「私も他のファッションも大好きですね。『sweet』や『GINZA』とかいろんな雑誌に携わっていますけど、どの仕事も全然ストレスは溜まらないし、すごく楽しいんです。ただ、『Union』を始めたときの気持ちは、それらの仕事とはちょっとモードが違っていて。もっと純粋というか、自由な気持ち。90年代の学生だったとき、ファッション誌を買ってきては、お気に入りのページをカットして机に貼っちゃうみたいな。そんなドキドキした気持ちに近いですね、『Union』は」

──雑誌文化の面白さを再認識していると。

Hiro「そうですね。自分たちの表現の場でもあれば、フォトグラファーやクリエイターのプラットフォームにもなりつつある場所が『Union』。大衆に向けた雑誌ではないから、いわゆる一般誌と比較しようがないけど、雑誌というカルチャーの影響力は、いまの時代でも確かにあると思います。『Union』を通して、いろんな国の人とつながっていけたらいいなって」

Dodo「そのためにも、まずは継続していかないとね。『Union』を作ろうと考えた時の初期衝動は保ちつつ、どんどんアップデートしたものを表現していきたいです」

『Union ♯2』
192ページ
出版社:Union Publishing Co.,Ltd.
言語:日本語/英語
¥980
bonjour records全店で販売中

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